bve4東武式ATS試験線 運転基本操作ガイダンス

bve列車パック

東武式ATS試験線

運転基本操作ガイダンス


準拠法令 : 鉄道に関する技術上の基準を定める省令


1.常用閉そく方式について
2.保安装置について
3.当路線データについて
4.キーアサインについて
5.運転開始準備について
6.制動操作について



1.常用閉そく方式について
◆運転保安方式  運転保安方式(正しくは、常用閉そく方式)は自動閉そく式(じどうへいそくしき)です。現行の東武鉄道では単線区間であっても特殊自動ではなく、自動閉そく式を採用しているようです。末端区間まで優等列車を運転しているお家柄によるものなのでしょう。

◆自動閉そく区間  本線では閉そく区間の入口に信号機が建植され、当該閉そく区間への進入の可否、ならびに進入制限速度を現示します。閉そく区間内では、列車の在線を軌道回路短絡によって認識し、在線状況に応じて周囲の信号機に自動的に現示を行う信頼性の高い保安方式です。信号故障の際はフェールセーフで停止現示が出るようになっていますので、運転者が信号さえ守っていれば列車事故は起きない事になります。
 複線で自動閉そく式の場合は三位式ですので、G現示は二閉そく区間の開通を保証しています。以下、主信号機での各現示と、それぞれの進入制限速度です。
R(停止)現示 R(停止)現示。原則的に進入してはいけません。
故障で滅灯(球切れなど)の場合もR現示と解釈します。
自動閉そく信号機の場合に限り、一分経過後に徐行進入できます。
YY(警戒)現示 YY(警戒)現示。
25km/h以下の速度で進入できます(貨物列車を除く)。
Y(注意)現示 Y(注意)現示。
55km/h以下の速度で進入できます(貨物列車を除く)。
YG(減速)現示 YG(減速)現示。
75km/h以下の速度で進入できます(貨物列車を除く)。
G(進行)現示 G(進行)現示。
当該の区間最高速度で進入できます。

◆信号歓呼位置  当該信号機のおおむね200〜300m手前です。
歓呼位置標識 自動閉そく信号機の歓呼位置標識です。

◆停車場内  停車場内(正確には場内信号機内方)は閉そく区間ではありません。列車および車両の在線状況を駅長が目で確認し、進路を確保した後に駅長自らが場内信号機および出発信号機に現示を出します。これらの信号機が停止現示(もしくは故障)の場合には、列車はいかなる状況であっても駅長の許可なくして進入することはできません。これを絶対停止信号といいます。自動閉そく信号機の停止現示とは取扱い方が異なります。
R(絶対停止)現示 R(絶対停止)現示。駅長の許可なく進入してはいけません。
故障で滅灯(球切れなど)の場合もR現示と解釈します。

 なお、停車場では原則として駅長が信号現示を出しますが、長時間にわたって転轍機を動かさない事がわかっている場合(東京急行大井町線の自由が丘駅など)にはその時間帯は信号扱いを行わず、軌道回路による自動閉そくを行っている例も全国的に多く見かけます。信号扱い所のカーテンが閉まっている場合は、駅長が詰めていないという事です。
 伊勢崎線は一部の停車場では連動装置の取扱いがCTC化されていますが、まだまだ駅扱いの箇所が多く残っているようです。2011年現在で春日部駅および、せんげん台駅は手動による駅扱いのようです。

◆R定位  R定位(アールていい)とはまた聴き慣れない言葉ですが、簡単に言ってしまうと、必要な時以外は信号を停止現示としておく扱い方法です。上記の通り、自動閉そく区間では列車の在線状況に応じて自動的に現示が出ますので、R定位とは関係ありません。
 場内信号機をはじめとして、出発、通過、入換、誘導信号機などは駅長が現示を出しますので、駅長は出した現示に対して責任を負う事になります。しかも一旦、進入許可現示を出した場合には、原則としてそれを取り消す事ができません。すなわち、しばらく列車が来ないのに、あまり早くから進行現示(など)を出しておくのは合理的ではないのです。そろそろ列車が到着する時間になって、はじめて場内を開通させるのがR定位の考え方です。



2.保安装置について
◆保安装置  常用閉そく方式が自動閉そく式の場合には、自動閉そく区間内では運転者が信号さえ守っていれば列車事故は起きない事になります。ところが運転者も人間ですから信号を見落としたり、判断ミスをしたりする事が無いと言い切れません。これら信号を守らなかった場合のバックアップ手段が、古くから議論されてきました。事業者が従業員を信頼していない事が前提のバックアップ手段ですから、労働組合側の強い反発もあったようです。
 そんな中、国鉄や各地の私鉄において重大事故が何度となく発生し、あきれ果てた運輸省(当時)が重い腰を上げて都市部の大手私鉄に対して自動列車停止装置の整備を通達しました。これにより全ての大手私鉄がATSを整備するに至りましたが、具体的な仕様については各社に一任されたため、結果として各社で様々なタイプのATSが登場しました。
 この通達によって、東武鉄道は昭和43年に独自の自動列車停止装置を導入する事になります。

◆東武式ATS  停止現示、警戒現示、注意現示の信号機に接近した列車に対して速度照査を行い、各現示に応じた規定の速度を上回る事が見込まれる場合に非常ブレーキを作用させるものです。具体的には下記に示すように五つのステップによって速度照査が進んでゆきます。

◆第一ステップ

G(進行)現示

YG(減速)現示

 進行、または減速現示の信号機に接近しつつある場合には、信号による速度照査は受けず、車型に応じた最高速度の照査が連続的に行われます。これをフリーモードと言い、照査に当たると非常ブレーキが作用します。

◆車型による最高速度
 ・自動ブレーキ車 : 95km/h
 ・電磁直通式、または電気指令式ブレーキ車
   本線系 : 100km/h
   200系 : 110km/h
   100系 : 120km/h
   東上線 : 105km/h

◆第二ステップ

Y(注意)現示

YY(警戒)現示

 注意、または警戒現示の信号機に接近しつつある場合には、まず信号機まで360mとなる地点に置かれたP3地上子によって90km/hの照査を受けます。これも連続照査で、照査速度を上回る場合には非常ブレーキが作用します。
 なお、照査モードに入った事を運転者が表示灯等にて認識することはできません。

◆第三ステップ
(第一パターン)

Y(注意)現示

YY(警戒)現示

 注意、または警戒現示の信号機に更に接近すると、信号機まで180mとなる地点のP2地上子によって90km/hから60km/hまで降下する照査パターンが発生します。これを第一パターンと言います。
 このとき速度計の60km/hの付近に橙色の「60」表示灯が点灯し、第一パターンモードに入った事を認識する事が出来ます。照査に当たると非常ブレーキが作用し、信号機位置までに60km/h以下に落とされます。
第一パターンモード

◆第四ステップ
(第二パターン)

R(停止)現示

 停止現示の信号機に接近しつつある場合には、信号機まで180mとなる地点のP2地上子によって60km/hから15km/hまで降下する照査パターンが発生します。これを第二パターンと言います。
 このとき速度計の15km/hの付近に橙色の「15」表示灯が点灯し、第二パターンモードに入った事を認識する事が出来ます。照査に当たると非常ブレーキが作用し、信号機の外方地上子(P1)の位置までに15km/h以下に落とされます。
 停止現示に対しては、手動ハンドル操作にて信号機の外方で停止しなければなりません。
第二パターンモード

◆第五ステップ

R(停止)現示

 絶対停止信号と、停止信号とでは取り扱い方が異なります。

 停車場にかかわる絶対信号機の停止現示に接近すると、信号機まで約25mとなる地点のP1地上子によって即時停止照査を受け、非常ブレーキが作用します。この場合には制動弁EBにてATS復帰SWを押下しないと緩解することはできません。緩解後も新規に別の照査を受けるまでATSによる15km/hの照査が連続的に残ります。
即時停止モード

 自動閉そく信号機の場合には、手前約25mとなる地点にP1-2地上子がありますが、こちらは即時停止照査は行いません。現示上昇時の追従機能のみを司っています。
 自動閉そく信号機が停止現示の場合には、一旦停止してから一分経過後に徐行進入して良い事になっていますが、この後は新規に別の照査を受けるまでATSによる15km/hの照査が連続的に残ります。この取扱いを「無閉そく運転」と言い、照査に当たると非常ブレーキが作用します。

◆誤通過防止装置 ◆本線系方式
 伊勢崎線など本線系の車両には橙色の「次駅停車」表示灯が設けられており、一つ手前の駅を発車または通過後に点灯します。停車駅に接近すると最遠部の停止位置まで約500mとなる位置にて誤通過防止モードに入り、120km/hから降下する照査パターンが発生します。同モードに入ると「次駅停車」表示灯は点滅に変わります。
 照査パターンに当てることなく停車すると、側引戸の開き扱いによって自動的に同モードは解除されます。
 なお、本データでは説明用に東京急行8500系車両に「停車」表示灯を設けましたが、実際に表示灯が設置されているのは東武鉄道の車両のみです。
誤通過防止モード (本線系)

◆東上線方式
 東上線の場合は地上子によって列車側へ駅接近情報を与えます。このためATS用の白色の地上子とは別に、専用の青色のMMP地上子が駅の手前二ヶ所に設けられています。この青色の地上子を踏むことでATSと同仕様の90km/h→60km/hの第一パターン、60km/h→15km/hの第二パターンの二段階の速度照査パターンが発生し、速度計にそれぞれの照査表示灯が点灯します。
 照査パターンに当てることなく停車しても側引戸の開き扱いでは解除されず、出発(相当)信号機用のP1地上子を踏んではじめてモード解除となります。
誤通過防止MPP地上子(東上線) 誤通過防止・第一パターンモード(東上線)


 いずれの線区においても、誤通過防止装置の照査パターンに当たると非常ブレーキが作用します。この場合には停車後に復帰扱いをしないと緩解しません。
誤通過防止装置による非常ブレーキ動作

 なお、信号による速度照査と、誤通過防止装置の照査とが同時に作用する場合には、より照査速度の低い方が優先的に作用します。

◆裏ワザ  勘の鋭い方はもうお気付きでしょうが、ある裏ワザがあります。ヒントは「あts45」です。



3.当路線データについて
◆運転区間  当bveアドオンデータでの運転区間は、伊勢崎線上りの春日部→大袋間です。その他の区間、路線を作る計画はありません。

◆列車種別  現時点では区間準急(半蔵門線直通)のみです。本データに調整を加え、次のステップとして急行(同)、更に普通(日比谷線直通)を新設する見込みです。その他の列車種別を作る計画はありません。

◆車形・組成両数  大型10両編成を再現しています。日比谷線直通の場合は小型8両編成になります。その他の編成を作る計画はありません。

◆区間最高速度  各駅間の区間最高速度です。
区間粁程


2.3

1.9

1.3

1.3

駅名

春日部
l
一ノ割
l
武里
l
せんげん台
l
大袋
普通・準急


90

85

80

75

急行


100

100

90

90


 各駅の出発(相当)信号機付近に、下画像の如く当該区間の最高速度を掲示してあります。赤色が急行系列車、緑色が準急系および普通列車用です。これは実際には存在しないものですので、本格的な運転を求める上級者の方は撤去した方が良いかもしれません。
区間最高速度



4.キーアサインについて
◆キーアサイン
(田玉線と共通)
 bve4におけるデフォルトのキーアサインです。このままでは使いづらいと思います。
 <<各key対応一覧>> 割当て「Default」の場合
 F4 key :運転情報参照
 - key :車外ブザ + 乗降促進
 Space key :車警確認
 EB + Home key :ATS復帰
 End key :エンド交換 (方向切換器)
 Delete key :開扉非扱いSW (左回し→代官山)
 Insert key :開扉非扱いSW (右回し→菊名)
 PageUp key :列車種別表示器 (進め)
 PageDn key :列車種別表示器 (戻し)
 (非表示→普通→急行→快速→区間準急→通勤準急→準急→非表示)

 3 key :回生開放
 4 key :耐雪ブレーキ (表示灯およびブレーキ指令計のみに反映)
 5 key :ATC切換SW (左回し)
 6 key :ATC切換SW (右回し)
 (右から :ATS→列車(ATC)→構内→非設)
 7 key :マスコンキー (左回し→東急)
 8 key :マスコンキー (右回し→営団→東武
 9 key :窓拭器
 0 key :計器灯


 私がお勧めするキーアサインです。マスコンキーとATC切換スイッチを上下スクロールキーの両隣に置いて使いやすくしました。また窓拭き器を「K」に、計器灯を「L」に設定し、ツーハンドル車の場合でブラインドタッチしやすくしました。
 あるいは、ユーザ独自の設定をしても構いません。
 <<各key対応一覧>> 割当て「Usaoお勧め」の場合
 F4 key :運転情報参照
 - key :車外ブザ + 乗降促進
 Space key :車警確認
 EB + Home key :ATS復帰
 End key :エンド交換 (方向切換器)
 Delete key :開扉非扱いSW (左回し→代官山)
 Insert key :開扉非扱いSW (右回し→菊名)
 PageUp key :列車種別表示器 (進め)
 PageDn key :列車種別表示器 (戻し)
 (非表示→普通→急行→快速→区間準急→通勤準急→準急→非表示)

 3 key :回生開放
 4 key :耐雪ブレーキ (表示灯およびブレーキ指令計のみに反映)
 NumPad7 key :ATC切換SW (左回し)
 NumPad9 key :ATC切換SW (右回し)
 (右から :ATS→列車(ATC)→構内→非設)
 NumPad1 key :マスコンキー (左回し→東急)
 NumPad3 key :マスコンキー (右回し→営団→東武
 K key :窓拭器
 L key :計器灯


 なお「Usaoお勧め」を使用したい場合には、bve4本体で以下のように設定し、名前をつけて保存します。
キーの割当て

 以上でキーアサインの設定は完了です。



5.運転開始準備について
◆運転開始  春日部駅から半蔵門線経由・中央林間駅へ向かう区間準急列車という設定です。
メトロ総合プラグイン・ユーザ向けガイドもあわせてご参照ください。

 まず列車種別表示器を所定(区間準急)にセットします。
列車種別表示器

 次に画面を下方へスクロールしてマスコンキーを「東武」側へ倒すと、ATS電源が投入されます。運転準備はたったこれだけで完了です。
下方のマスコンキー

 マスコンキーの挿入位置によってATS電源は自動選別されます。東武ATS電源が投入されると緑色の表示灯で「ATS」が点灯。同時に速度計左下部の「ATS動作」表示灯が正常動作確認のため点灯しますが、こちらは2〜3秒後に自動的に消灯します。
東武ATS電源表示灯

 マスコンキー「東急」位置では東急ATS電源が投入されてしまいます。起動はできますが、ATS関連の動作がおかしくなる筈です。
 「営団」位置ではATS電源は投入されません。起動もできないと思います。
 「西武」位置にはデフォルトでは廻せません。CFGファイルを改造しても現時点では西武ATSは動作しません。自己責任で。

 マスコンキーを所定の位置へ挿入したにもかかわらずブレーキが緩解しない場合は、
ATC切換SWか、運転方向切換SW (営団では方向切換器) をいじくった可能性があります。
その場合には上方へスクロールします。
上方のスイッチ群
 左のATC切換SWが「ATS」。中央のSWが「前」になっていますか?
なっていなければ、これらの位置に戻してください。
 なお、路線データをロードした直後のデフォルト状態ではこの位置になっています。



※ 参考
マスコンキーおよび各スイッチ類の操作条件
○マスコンキー
 制動弁「非常」、前後進レバーシング「切」
○方向切換器
 制動弁「非常」、前後進レバーシング「切」
○ATC切換スイッチ
 制動弁「B7」または「非常」
○列車種別表示器
 制動弁「B4」以上
○前後進レバーシング、および制動弁
 方向切換器「前」、マスコンキー「切」以外


◆運転情報等
 (田玉線と同様)
 運転中にF4キーでキーアサイン等の運転情報を参照できます。キーアサインは二通りありますので、あらかじめお好みの方を選択しておいてください。
運転情報等参照



6.制動操作について
◆乗降場有効長  駅プラットホーム有効長は標準210mです。

◆停止位置目標  半蔵門線直通列車は全て大型20m車×10両組成で全長200mですから、ほぼプラットホーム有効長いっぱいに停止することになります。停止位置目標として、線路中心位置に各編成数量の札が掲出してあります。
 18m級の場合は東京急行では「中型車」と呼んでいますが、東武鉄道では「小型車」と呼んでいるようです。日比谷線直通列車はすべて小型18m車×8両になります。
 なお、改札口が最前部にあるなどの理由でいずれの組成両数でも先頭部合わせで止める駅の場合は、組成数量ではなく「停」という札になっています。

10両編成用の停止位置目標 10両編成用の停止位置目標です。
半蔵門線直通列車はすべて10両になります。
4〜8両編成用の停止位置目標 4〜8両編成用の停止位置目標です。
日比谷線直通列車はすべて8両になります。
すべての列車の停止位置目標 組成両数を問わず、すべての列車の停止位置目標です。

運転台上部に目盛を設け、停止位置を視覚的に把握しやすくしました。1マスが1mで緑色が所定停止位置、橙色が自車の先頭部です。bve本体の距離計算の仕様なのか、なぜか誤差が結構あります。
停止位置目標


2010.12.30 新規掲載
2011.08.10 加筆修正

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