bve4東横線(ATS時代) 運転基本操作ガイダンス

bve列車パック

東急東横線 (ATS時代)

運転基本操作ガイダンス


準拠法令 : (旧)鉄道運転規則、(旧)普通鉄道構造規則


1.常用閉そく方式について
2.保安装置について
3.当路線データについて
4.キーアサインについて
5.運転開始準備について
6.制動操作について
7.力行操作について
8.その他の機能について



1.常用閉そく方式について
◆運転保安方式  東横線の現行の運転保安方式(正しくは、常用閉そく方式)は車内信号閉そく式ですが、当bveアドオンデータでは時代背景を昭和末期とし、「自動閉そく式(じどうへいそくしき)」による運転を再現しました。

◆自動閉そく区間  本線では閉そく区間の入口に信号機が建植され、当該閉そく区間への進入の可否、ならびに進入制限速度を現示します。閉そく区間内では、列車の在線を軌道回路短絡によって認識し、在線状況に応じて周囲の信号機に自動的に現示を行う信頼性の高い保安方式です。信号故障の際はフェールセーフで停止現示が出るようになっていますので、運転者が信号さえ守っていれば列車事故は起きない事になります。
 複線で自動閉そく式の場合は三位式ですので、G現示は二閉そく区間の開通を保証しています。以下、主信号機での各現示と、それぞれの進入制限速度です。
R(停止)現示 R(停止)現示。原則的に進入してはいけません。
故障で滅灯(球切れなど)の場合もR現示と解釈します。
自動閉そく信号機の場合に限り、一分経過後に徐行進入できます。
YY(警戒)現示 YY(警戒)現示。
25km/h以下の速度で進入できます。
Y(注意)現示 Y(注意)現示。
45km/h以下の速度で進入できます。
YG(減速)現示 YG(減速)現示。
60km/h以下の速度で進入できます。
G(進行)現示 G(進行)現示。
当該の区間最高速度で進入できます。

◆信号歓呼位置  当該信号機のおおむね200〜300m手前です。
歓呼位置標識 自動閉そく信号機の歓呼位置標識です。
通過列車用 通過列車に対する出発相当信号機の歓呼位置標識です。

◆停車場内  停車場内(正確には場内信号機内方)は閉そく区間ではありません。列車および車両の在線状況を駅長(※注)が目で確認し、進路を確保した後に駅長自らが場内信号機および出発信号機に現示を出します。これらの信号機が停止現示(もしくは故障)の場合には、列車はいかなる状況であっても駅長の許可なくして進入することはできません。これを絶対停止信号といいます。自動閉そく信号機の停止現示とは取扱い方が異なります。
R(絶対停止)現示 R(絶対停止)現示。いかなる場合も進入してはいけません。
故障で滅灯(球切れなど)の場合もR現示と解釈します。

 なお、停車場では原則として駅長が信号現示を出しますが、長時間にわたって転轍機を動かさない事がわかっている場合(大井町線の自由が丘駅など)にはその時間帯は信号扱いを行わず、軌道回路による自動閉そくを行っている例も全国的に多く見かけます。信号扱い所のカーテンが閉まっている場合は、駅長が詰めていないという事です。
 東横線は連動装置の取扱いがCTC化(CTCの機能を満足するTTCが司っています)されていますので、実際に信号扱いが駅で行われるのは朝方のラッシュ時のみです。それ以外の時間帯は運輸司令所内のTTCで集中扱いされています。

 ※注 : 信号扱い上の「駅長」とは、法令上は「駅長または駅長から命を受けた者」となっていまして、実際には助役や主任が代行する事が多いようです。駅長さんは一人しかいませんので信号扱いばかりに専念できませんし、サラリーマンですから休みの日もあるでしょうし。それに、会議等で駅より本社にいる日の方が多いという駅長さんもいるくらいです。

◆R定位  R定位(アールていい)とはまた聴き慣れない言葉ですが、簡単に言ってしまうと、必要な時以外は信号を停止現示としておく扱い方法です。上記の通り、自動閉そく区間では列車の在線状況に応じて自動的に現示が出ますので、R定位とは関係ありません。
 場内信号機をはじめとして、出発、通過、入換、誘導信号機などは駅長が現示を出しますので、駅長は出した現示に対して責任を負う事になります。しかも一旦、進入許可現示を出した場合には、原則としてそれを取り消す事ができません。すなわち、しばらく列車が来ないのに、あまり早くから進行現示(など)を出しておくのは合理的ではないのです。そろそろ列車が到着する時間になって、はじめて場内を開通させるのがR定位の考え方です。
 東横線のように信号扱いがTTC化されている路線では、実は場内および出発信号機の現示も自動化されている場合があります。しかし単に軌道回路による自動閉そくではなく、原則的にR定位の体制をとっています。具体的には、5区間手前の閉そく区間に定時以降に進入した場合に「列車接近」とみなして場内を開通させる仕組みとなっています。つまり、運転が定時より早かったり、あるいはいつまでも接近しないような場合には、場内信号機はR現示のままとなります。



2.保安装置について
◆保安装置  常用閉そく方式が自動閉そく式の場合には、運転者が信号さえ守っていれば列車事故は起きない事になります。ところが運転者も人間ですから信号を見落としたり、判断ミスをしたりする事が無いと言い切れません。これら信号を守らなかった場合のバックアップ手段が、古くから議論されてきました。事業者が従業員を信頼してない事が前提のバックアップ手段ですから、労働組合側の強い反発もあったようです。
 そんな中、東京急行は東横線を皮切りに、早い時期から自発的に各線・各車両に保安装置を整備しました。昭和32年導入のB型車内警報装置です。
 その後も国鉄や他の私鉄において重大事故が減らず、あきれ果てた運輸省(当時)が重い腰を上げて都市部の大手私鉄に対して自動列車停止装置の整備を通達しました。これにより全ての大手私鉄が独自のATSを整備するに至りましたが、具体的な仕様については各社に一任されたため、結果として各社で様々なタイプのATSが登場しました。
 東京急行は最も輸送密度が高かった東横線を皮切りに、独自の自動列車停止装置を整備しました。昭和42年導入の東急式ATSです。

◆B型車警  進行現示以外の閉そく区間に進入した場合に、警報ベル(弱)を鳴動させて運転者に注意を促すものです。自動的にブレーキを作用させる機能はありません。「B型」というのは、商用周波数を用いた軌道回路常時励磁式(ここ重要)の型式名で、国鉄式ATS-B型と語源は同じです。
 具体的な動作原理は、列車が閉そく区間に進入した事を軌道回路短絡によって地上側が認識し、進行現示以外の場合には当該区間の軌道回路電流を二秒間遮断します。列車側は軌道回路電流による磁場が二秒間消磁した事を認識して、運転室に警報ベル(弱)を鳴動させるシンプルな仕組みです。同時に運転台の「車警動作」表示灯が点灯します。
 bve2では仕様上、車警は動作しません。bve4ではATSプラグインによって動作を再現しました。次の閉そくの信号機が上位現示になった事を確認して、警報を止めましょう。
車警動作

◆東急式ATS  進行現示以外の閉そく区間に進入しようとした列車に対して速度照査を行い、各現示に応じた制限速度を超過している場合に非常ブレーキを作用させるものです。超過していない場合には何も起こりません。
 具体的な動作原理は、制限速度の秒速の長さのループ回路を信号機直下付近に二本のレールに沿わせる形で設け、軌道回路電流と逆位相の電流を流し、発生する磁場を打消し合う状況を作ります。この上を列車が通過すると、列車側は軌道回路電流が遮断したと認識します。この遮断時間が一秒未満であれば制限速度超過とみなし、ATSが18番線リレーを落下させて非常ブレーキが作用するいたってシンプルな仕組みです。
 例えばY現示の場合(下図)は制限速度45km/hで、これは秒速12.5mです。信号機建植位置までに速度調節が完了していればループ通過時間は一秒以上になりますのでATSは運転に介入せず、結果としてB型車警だけが動作する形になります。
ATS速度照査の概要

 万が一、速度超過によってATSが動作した場合には、非常ブレーキ作用とともに警報ベル(強)が鳴動し、運転台の「ATS動作」表示灯が点灯します。この場合には制動弁を非常位置に投入し、停止したら復帰しましょう。
ATS動作

 速照ループ設置箇所は、R現示以外の場合は信号機直下です。この位置までに速度調節を完了しましょう。
R現示以外は信号機直下で照査

 R現示の場合だけは信号機直下で照査ができません(0km/h照査となってしまう)ので、信号機外方60〜80m付近にループ回路を設け、15km/h照査を行います。軌道の左脇(スペースの都合から右脇の場合もあり)に黄色四角の標識が立っている箇所がR外方照査地点です。時速15kmは秒速4.17mですから、この長さのループ回路が埋め込まれています。
R現示は外方ループ地点で照査

 東急式ATSはシンプルな仕組みながらも各現示で徐々に速度を落とし、停止信号までに止まり切れるようにした安全なシステムです。
 同ATSの欠点として、点制御(制限区間内の連続制御ではない)であり、また列車側が照査された速度情報を持っていないため、いったん速度照査地点を通過してしまえば次の照査地点までは加速し放題となってしまいます。本件については、社員教育で補完しているようです。
 なおbve2では仕様上、ATSは動作しません。bve4ではATSプラグインによって動作を再現しました。特に速度照査は速度そのものを直接読み取るのではなく、実際と同様に二点間の通過時間を計測する方式を採っているため、非常にリアルな挙動を楽しめます(決して速度超過を奨励している訳ではありません)。
段階的な速度照査



3.当路線データについて
◆運転区間  当bveアドオンデータでの運転区間は、上り線の桜木町→日吉間です。渋谷までの全通が目標ではありますが、先は長そうです。

◆列車種別  現時点では普通のみです。路線データの整備に一区切りついたところで、急行および直通を追加する予定です。特急や通勤特急を作る計画はありません。

◆車形・組成両数  現時点では大型8両編成を主体に再現しています。中型車は、仮データとしてデハ3450形×3両による運転としています。いずれ中型8両編成の車両データを整備していく予定です。

◆認可最高速度  当bveアドオンデータでは、認可最高速度90km/hだった時代を再現しています。現行の東横線は110km/hです。

◆区間最高速度  各駅間の区間最高速度です。
区間粁程


1.2

0.8

1.0

1.1

0.7

1.2

1.4

1.3

1.7

2.2

駅名

桜木町
l
高島町
l
横浜
l
反町
l
東白楽
l
白楽
l
妙蓮寺
l
菊名
l
大倉山
l
綱島
l
日吉
普通列車


80

50

65

75

75

75

70

80

85

85




4.キーアサインについて
◆キーアサイン
(田玉線と共通)
 bve4におけるデフォルトのキーアサインです。このままでは使いづらいと思います。
 <<各key対応一覧>> 割当て「Default」の場合
 F4 key :運転情報参照
 + key :乗降促進
 Space key :車警確認
 EB + Home key :ATS復帰
 End key :エンド交換 (方向切換器)
 Delete key :開扉非扱いSW (左回し→代官山)
 Insert key :開扉非扱いSW (右回し→菊名)
 PageUp key :列車種別表示器 (進め)
 PageDn key :列車種別表示器 (戻し)
 (非表示→普通→急行→快速→直通→特急→通特→区準→通準→非表示)

 3 key :回生開放
 4 key :耐雪ブレーキ (表示灯およびブレーキ指令計のみに反映)
 5 key :ATC切換SW (左回し)
 6 key :ATC切換SW (右回し)
 (右から :東急非設→東急ATS→列車(CS-ATC)→構内→営団非設)
 7 key :マスコンキー (左回し→東急)
 8 key :マスコンキー (右回し→営団)
 9 key :窓拭器
 0 key :計器灯


 私がお勧めするキーアサインです。マスコンキーとATC切換スイッチを上下スクロールキーの両隣に置いて使いやすくしました。また窓拭き器を「K」に、計器灯を「L」に設定し、ツーハンドル車の場合でブラインドタッチしやすくしました。
 あるいは、ユーザ独自の設定をしても構いません。
 <<各key対応一覧>> 割当て「Usaoお勧め」の場合
 F4 key :運転情報参照
 + key :乗降促進
 Space key :車警確認
 EB + Home key :ATS復帰
 End key :エンド交換 (方向切換器)
 Delete key :開扉非扱いSW (左回し→代官山)
 Insert key :開扉非扱いSW (右回し→菊名)
 PageUp key :列車種別表示器 (進め)
 PageDn key :列車種別表示器 (戻し)
 (非表示→普通→急行→快速→直通→特急→通特→区準→通準→非表示)

 3 key :回生開放
 4 key :耐雪ブレーキ (表示灯およびブレーキ指令計のみに反映)
 NumPad7 key :ATC切換SW (左回し)
 NumPad9 key :ATC切換SW (右回し)
 (右から :東急非設→東急ATS→列車(CS-ATC)→構内→営団非設)
 NumPad1 key :マスコンキー (左回し→東急)
 NumPad3 key :マスコンキー (右回し→営団)
 K key :窓拭器
 L key :計器灯


 キーアサインを決定したら、路線データの巻頭部分に手を加えます。使用したい方のファイルの先頭を、半角のセミコロン「 ; 」がない状態にし、選択しなかった方のファイルの先頭にセミコロンを付けます。
 セミコロンは、二枚とも外した状態にしないでください。
路線データ編集


 なお「Usaoお勧め」を使用したい場合には、bve4本体で以下のように設定し、名前をつけて保存します。
キーの割当て
以上でキーアサインの設定は完了です。



5.運転開始準備について
◆運転開始  桜木町駅での運転開始場面は、下り列車からの折り返しというシナリオ設定ですが、現時点では完全に再現しきれていない部分があります。

 bve2の場合
 前後進レバーシングを「前」、制動弁を常用帯に引くとATS電源が投入されます。Insertキーで警報ベルを止めてください。運転準備はこれで完了です。
bve2での運転開始場面


 bve4の場合
メトロ総合プラグイン・ユーザ向けガイドもあわせてご参照ください。

 まず列車種別表示器を所定(普通)にセットします。
列車種別表示器

 次に画面を下方へスクロールしてマスコンキーを「東急」側へ倒すと、ATS電源が投入されます。正常動作確認のため車警が鳴動しますので、車警確認ボタンで止めてください。運転準備はたったこれだけで完了です。
 なお、マスコンキー「営団」側ではATS電源は投入されません。
下方のマスコンキー

 マスコンキーを所定の位置へ挿入したにもかかわらずブレーキが緩解しない場合は、
ATC切換SWか、運転方向切換SW (営団では方向切換器) をいじくった可能性があります。
その場合には上方へスクロールします。
上方のスイッチ群
 左のATC切換SWが「ATS」。中央のSWが「前」になっていますか?
なっていなければ、これらの位置に戻してください。
 なお、路線データをロードした直後のデフォルト状態ではこの位置になっています。



※ 参考
マスコンキーおよび各スイッチ類の操作条件
○マスコンキー
 制動弁「非常」、前後進レバーシング「切」
○方向切換器
 制動弁「非常」、前後進レバーシング「切」
○ATC切換スイッチ
 制動弁「B7」または「非常」
○列車種別表示器
 制動弁「B4」以上
○前後進レバーシング、および制動弁
 方向切換器「前」、マスコンキー「東急」または「営団」


◆計器灯
(田玉線と同様)
 bve4は夜間パネルに対応していますので、暗い場所では計器類が見難くなります。 計器灯を点灯させましょう。操作条件はありません。いつでも操作可能です。
 ちなみに計器灯のキーアサインを「L」にしたのは、ツーハンドルの時に画面から目を切らずにブラインドタッチしやすくするための工夫です。「LightのL」としても、覚えやすいと思います。
計器灯点灯

◆運転情報等
(田玉線と同様)
 bve4では、運転中にF4キーでキーアサイン等の運転情報を参照できます。キーアサインは二通りありますので、あらかじめお好みの方を選択しておいてください。
運転情報等参照



6.制動操作について
◆制動操作  制動の基本ハンドル操作は田玉線の「5-7-5-3」に対して、当時の東横線は「4-6-4-2」です。ただあくまでも電車区長の指導方針であって、常時絶対というわけではありません。状況に応じた制動操作を行いましょう。いったん弛め操作を行った後に、再び込める「また掛け」は極力避けるべきです。
 元来、自動ブレーキ車や電磁直通ブレーキ車のようなレスポンスの遅い車両が主体だった時代は、「一段制動・三段弛め(いちだんせいどう・さんだんゆるめ)」が定石と言われていました。8000系以降の電気指令車はレスポンスが早いために、一段制動では衝動が大きくなってしまいます。そのため近年は「二段制動・二段弛め」、あるいは極端な例では「二段制動・三段弛め」などが一般的となっているようです。

◆デッドマン装置  運転者が何らかの理由で正常な取扱いをできなくなった場合に、列車が暴走するのを防ぐため旧5000形系以降の車両には「デッドマン装置」が設けられています。これは制動弁がB3(相当)以下の時に、主ハンドル内に組込まれたスイッチを開放すると非常ブレーキが作用するもので、8500系以降の車両は11号線乗入れ協定により「緊急ブレーキ」という名称に改まりました。bve2では仕様上、デッドマン装置は動作しません。
 bve4ではATSプラグインによって再現は可能です。ただし試作検討の結果、あまりにも使い辛く、現実離れしているために採用を見送りました。

◆電空協和  旧5000形系以降の車両には電気ブレーキが装備されています。また旧6000形系の一部と、旧7000形系以降の車両は電気ブレーキが電力回生ブレーキとして機能します。制動力不足分は空気ブレーキが自動的に補完しますので、ハンドル操作は常に同じで構いません。なお、定員250%超の場合は制動力が不足するため、ハンドルで補う必要があります。
 以下、代表として界磁チョッパ制御車とVVVF制御車の電空協和特性の概要を示します。

界磁チョッパ車  界磁チョッパ制御車(8000系グループ)は、約45km/h以上の速度域であれば惰行中も常にチョッパ装置で界磁制御を行っています。そのため回生ブレーキの立上がりが極めて早く、初込めを行いません。
 M車は締切電磁弁で空制を遮断して回生ブレーキの逆起電力による制動が作用し、45km/h付近で並・直列亙り、25km/h付近で回生遮断となります。遮断後は空制のみで停止します。
 T車は全速度域において空制のみが作用します。

VVVF車  VVVF制御車は惰行中はLBで主回路を遮断し、界磁制御は行いません。そのため回生ブレーキの立上がりが遅いので、電圧上昇までの僅かな時間だけ「初込め」という空制をあてています。
 回生ブレーキによる逆起電力が必要制動力を上回ると、初込めは緩解されT車はノーブレーキとなります。M車がT車の制動をも負担している状態です。回生ブレーキだけでは制動力が不足する場合には、「遅れ込め」でM車とT車均一に空制が作用します。
 初期の頃のVVVF車は隣り合うM車とT車の2両ペアで電空演算を行っていましたが、最近の新型車両は編成全体で統括して合理的な電空演算を行っているようです。

◆主回路電流計  旧5000形系以降の車両は、運転台に主回路電流計が設けられています。一般に自車が制御電動車(Mc)の場合には自車の主回路を、制御車(Tc)の場合には最も近い電動車の主回路を監視しています。旧5000形系では時計回り片振式でしたが、旧6000形系以降は時計回りを力行とする両振式になりました。なおbve2では仕様上、電流計は動作しません。
 bve4ではATSプラグインによって、擬似的に電流計を再現しました。回生ブレーキ(あるいは発電ブレーキ)の作用状況が視覚的にもわかると思います。
主回路電流計

◆回生失効
(田玉線と同様)
 電路電圧が安定しない場合に回生ブレーキが失効することがあります。bve2では仕様上、回生失効は発生しません。
 bve4ではATSプラグインによって、ある規則性で回生失効が発生するようにしました。また、一旦失効しても再度回生復帰することもあります。回生失効した場合には自動的に空制が立上がって制動力を補完しますが、意図したブレーキタイミングがずれるので、駅停車の時は特に気を遣います。
 失効時はLB遮断音とともに電流計が0Aとなり、BC圧力計が上がってきます。ただ現実には、前の方の車両ばかりが失効するわけではありません。編成後部のユニットだけが失効した場合には、音も電流計も圧力計も変化がないので運転台では判断できない事になります。当アドオンデータでは、編成前方のユニットが失効する場合だけという前提としました。

◆回生開放
(田玉線と同様)
 bve2では仕様上、回生ブレーキを開放することはできません。
 bve4ではATSプラグインによって、回生開放できるようにしました。開放時は表示灯が点灯し、空制だけで減速/停止します。また制動時の電流計は常に0Aを指しています。と言っても、故障でもないのに通常運転でわざわざ開放する必要はありません。
 スイッチの操作条件は、制動弁「B4」以上です。
回生ブレーキ開放中

◆耐雪ブレーキ
(田玉線と同様)
 降雪時は、車輪踏面とブレーキシュウとの隙間(あるいはブレーキディスクとパッドの隙間)に雪が入り込まないように、耐雪ブレーキを使用します。ただしbveでは仕様上、制動と力行とを同時に作用させることが出来ませんので、耐雪ブレーキは再現できません。
 bve4ではダミーではありますが、ATSプラグインによって視覚的な再現をしています。表示灯が点灯するほか、制動弁ユルメ位置でもブレーキ指令計がB1を指しています。
 なおスイッチの操作条件は、制動弁「B4」以上です。
耐雪ブレーキ使用中



◆乗降場有効長  駅プラットホーム有効長は、菊名駅を除いて標準170mです。菊名駅は150m強しかありませんので、大型車8両組成の場合には上り方1両が開扉非扱いとなります。

◆停止位置目標  大型車8両組成の場合は20m車×8両=160mですから、ほぼプラットホーム有効長いっぱいに停止することになります。大型車の停止位置目標は黄色です。菊名駅だけは踏切の先に停止位置目標が立っています。
 中型車の場合には、前部を20m車の停止位置に合わせて停める場合と、後部を合わせる場合と、いずれにも合わせない場合とがあります。東京急行は車掌の立ち位置を統一したいとの考え方から後部を合わせる場合が多いですが、上屋や階段位置の関係からそうでない場合もあり、停止位置は各駅ごとに覚えるほかはありません。中型車の停止位置目標は原則として白色です。

停止目標(中型車用) 白色は、中型車用の停止位置目標です。中型車とは車両全長が18.5m以下の車両を指します。大型車と中型車との混結はありません。
停止目標(大型車用) 黄色は、大型車用の停止位置目標です。大型車とは車両全長が20.0m以上の車両を指します。
停止目標(速達列車用) 急行・特急・通勤特急列車用の停止位置目標です。整列乗車促進のため、東横線・横浜駅の上り線のみに存在した異例措置です。
停止目標(日比谷線直通列車用) 日比谷線直通列車用の停止目標で、中型車8両と同じ意味です。東横線・中目黒〜菊名間に存在します。



7.力行操作について
◆力行ハンドル  戦後の鉄道線車両は全て自動進段方式のため、力行時は必要なハンドル位置まで一気に投入して構いません。なお、いずれの車両も保安ブレーキを使用しているため、流しノッチは一切行いません。
 起動加速度は車形やMT組成比によって様々です。なお、鉄道線には可変加速度型の車両は存在しません。ハンドル2ノッチ刻み以上の場合は、いずれも全加速です。以下、代表例として8000系の場合の力行特性の概要を示します。

1ノッチ刻  弱め界磁起動の後、直列第一段に入ったまま進段しません。一般には構内での小移動に使用。状況に応じて混雑時間帯に本線上で使用する事(中目黒など)もあるようです。
 主抵抗器を保護するため、運転取扱心得では連続1ノッチ運転は1分以内とされています。

2ノッチ刻  弱め界磁起動の後、直列最終段まで自動的に進段します。分岐器を通過するなど、45km/h前後の速度制限がある場合などに多用されます。横浜の出発は2ノッチで!
 直列最終段での特性運転のため、連続運転の時間的制限はありません。

3ノッチ刻  直列最終段に達した後、直・並列亙りとなり、並列最終段まで自動的に進段します。おおむね60km/h前後の速度制限がある場合に使用されます。
 並列最終段での特性運転のため、連続運転の時間的制限はありません。

4ノッチ刻  並列最終段に達した後、チョッパ装置で弱め界磁を行い、最弱め界磁以後は特性運転となります。特に速度制限がない場合に多用する一般的なハンドル位置です。
 連続運転の時間的制限はありません。

力行ノッチ曲線の例



◆力行標識  以下、惰行標識および再力行標識です。
普通列車用の惰行標識 普通列車用の惰行標識で、通称「オフ点」とも呼ばれます。営業列車のうち、最も性能の低い車両に合わせて設置されます。
速達列車用の惰行標識 急行列車等の速達列車用の惰行標識です。車内信号閉そく化が進んだ現在では、東急線上から消滅しました。
普通列車用の再力行標識 普通列車用の再力行標識です。駅間が長く、上り勾配が連続する区間などに設置されます。
速達列車用の再力行標識 速達列車用の再力行標識です。通過駅を過ぎた位置などに設置されています。これも東急線上から消滅しました。

◆勾配起動  本来は多用するスイッチですが、bveの仕様上再現していません。bve4ならATSプラグインで再現できそうですが、bveは流転が小さくてあまり効果がないので、やらないつもりです。

◆定速運転  9000系以降のVVVF制御車に設置されています。本来はマスコン操作で行うものですが、bveではBackSpaceキーで行います。bve4ならATSプラグインでハンドルによる操作も再現できそうですので、今後の研究課題とします。

◆高加速  限流値増による高加速は、bveの仕様上再現していません。bve4ならATSプラグインで再現できそうですので、今後の研究課題とします。



8.その他の機能について
◆開扉非扱い  菊名駅ではプラットホーム有効長が150m強しかないために、大型車8両組成の場合には上り方の1両が開扉非扱いとなります。bve2では仕様上、開扉非扱いは再現していません。
 bve4では、現時点ではダミーではありますが、ATSプラグインによって非扱いスイッチおよび表示灯を再現しました。雰囲気だけでもお楽しみください。これらはいずれ、実際の動作を模擬していく予定です。
非扱いスイッチ 開扉非扱いスイッチ

非扱い表示灯 非扱い表示灯



2005.09.11 加筆・再掲載
2011.08.10 加筆修正


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